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無理・ムダのない工事保険の選び方と内容

様々な工事を行う際に、万が一の時のための補償のためにかけるのが工事保険です。この工事保険、どんな事故が起きた時に補償してほしいのかという目的をしっかり持ってかけることが大切です。主要な工事保険としては、工事の目的物を対象とする保険や賠償責任保険任意労災保険などがあり、業種によって商品名が変わることもあります。

 

また、業者自体の営業スタイルによって必要な保険が変わりますので、よくわからないまま加入してしまっては、非常にムダの多い状況になってしまうこともあります。そうなると、必要のない保険に掛け金を払い続けることになるので、会社にとってはマイナスです。

 

工事保険の説明の中では、難しい専門用語が度々出てきます。そのため、工事保険のムダをなくすためには、自社のスタイルだとどんな事故が起きるリスクがありどんな補償が必要なのかを把握し、保険会社に伝えることです。この伝達がうまくいかないと、加入した保険では希望通りの保障がされていないことがあり、後々のトラブルにつながってしまいます。

 

※今回は依頼主ではなく工事施工業者を対象にした記事となっております。

 

工事保険におけるトラブルを避けるには?

残念なことに、自社が事故を起こしてしまい、加入している工事保険の代理店に連絡したが、「その事故では保険金がでません」といわれてしまった…実は、このようなことは珍しいことではなく、工事保険に関するトラブル相談ではよくあることなのです。なぜこのようなことが起こるのか、それは会社の希望通りの保険に加入していないからです。

工事保険というものは、自動車・火災・生命保険と違って流通量が圧倒的に少ない保険です。そのため、保険会社のベテラン営業パーソンでも、工事保険に精通している人間は非常に少ないのです。そういう意味では、契約時に正しい説明がされているかも怪しいケースも見受けられます。たった月数百円の特約をつけなかったばっかりに、数百万円規模の被害に対して保険金が下りなかった、なんてこともあるくらいです。

 

会社の保険担当者は、まずどんな事故が起きた時にどんな補償をしてほしいのかを整理しておかなければなりません。できる限り、具体的に明文化していくことをおすすめします。それから、その補償が叶う工事保険がどれなのか検討に入ることになります。この作業をしないまま契約してしまうと、先述のようなトラブルにつながるリスクが高くなります。

 

工事保険の種類

では、代表的な工事保険を紹介していきましょう。

 

  •  自社の所有物にかける保険

自社で建築した物件や建築・設備資材などの補償のためにかける保険です。例えば、新築物件を建設中に事故が起こった際に資材が盗難されたなどの事故が起こった時に補償してもらう、というようなケースが想定されます。この保険の対象になるのは、メーカーや量販店など第三者から支給された設備資材も含まれますが、あくまで現場の敷地内にあった場合に限られます。

 

  •  依頼主や第三者に与えた損害を補償する保険

作業中に依頼主や第三者の者を壊したりケガをさせたりした時の賠償のための保険です。例えば、作業中に工具を落として通行人にあたってしまい裂傷を負わせた、などのケースが想定されます。

 

  •  住宅の引渡し後の賠償事故を補償する保険

住宅を引き渡した後に、施工ミスが原因で賠償することになってしまった時の保険です。例えば、施工ミスが原因で水漏れが起こり、部屋中が水浸しになってしまったケースなどが想定されます。

 

  •  任意労災

これは自社の社員・職人が通勤中・作業中にケガをした時に補償する保険です。例えば、職人が現場に向かう途中に交通事故に巻き込まれて障がいが残ってしまったケースなどが想定されます。

ちょっと細かく見ていきましょう。自社の所有物には、建設中の住宅も含まれます。この際、自社で仕入れた資材はもちろん、支給資材なども保険の対象になります。建設中の火事や盗難、自然災害などによる被害が補償されるものです。保険の解釈では「自分の持ち物」ということになりますので、「物保険」とも呼ばれます。この保険において注意すべきケースは、リフォーム工事です

リフォーム工事をメインの事業としている業者の場合、②や③の賠償責任保険に加入していても①の自社の所有物にかける保険が抜けていることがよくあります。例えば、リフォーム工事中に火事や水濡れ事故が起きてしまった場合、①に加入していなければ全額を業者が負担することになってしまいますので、注意が必要です。

リフォーム工事の場合、一時的にとはいえその住宅は「自社で仕入れた資材」という扱いを受けるため、②③の依頼主・第三者への賠償責任という扱いにはならないのです。ちなみに、リフォーム工事を請け負っていない場所で事故が起きた場合…リフォーム工事は住宅のみで、庭にあった壺が盗難にあった場合などは、②③で補償されます。

 

このように、自社で工事を行う部分に関しては①の保険へ加入していなければ補償はされないと考えておいた方が無難です。そして、依頼主・第三者に直接的に被害があった場合に補償する②③は賠償責任保険と呼ばれるものです。依頼主の所有物は壊してしまったり、通行人にケガをさせてしまったりした場合は、この保険を活用することになります。

②の「作業中に発生した事故」と③の「引き渡し後に発生した事故」によって保険は分かれていますが、セットで加入することで割引になる保険会社もあります。この保険の注意点は、いわゆる「瑕疵保証」(特に事故が起こっていない場合でも不具合が起きているケースの補償)ではなく、突発的な事故により被害が発生した時の補償を対象としていることです。

そして、最後の④任意労災は、事業主や従業員はもちろん下請業者の職人がケガをした時の治療費の補償や休業補償を確保するものなので、加入しておくべき保険となっています。事故の内容によっては、事業主に厳しいペナルティが課せられることもありますので、万が一のために加入しておきましょう。

建築現場においては、ひとりでも労働者を雇用した場合に加入しなければならない「政府労災」と呼び分けをしていますが、元請け業者が労災への加入催促をしてきた場合、どちらの労災を指しているのかを確認することが大切です。政府保険だけで良いのであればもともとの保険で賄えますが、任意保険への加入を催促してきた場合には、任意保険に加入していないと加入の検討をしなければなりません。ちなみに、政府労災の問い合わせ先は労働基準監督署になります。

このように、工事保険には以上のような種類があります。どの保険に加入するかは、業者の業務内容によって変わってきますが、②③の依頼主・第三者のための保険は加入しておかなければ後々のトラブルにつながりかねない部分化と思われます。

 

その他の工事保険

 

これらメインの保険以外にも、工事保険は存在します。

 

  • 一人親方特別加入制度(政府労災の一種)

一人親方とは、個人事業主として業者と契約を交わして仕事を請け負う人たちのことで、かれらの作業中・通勤途中の事故の補償を行うものです。現場に新規で入る場合に、この特別加入制度を入場の条件にしている個人事業主もいますので、契約の際に確認するようにしましょう。

 

  • 住宅瑕疵保証・リフォーム瑕疵保証

住宅の品質確保の促進等に関する法律(「品確法」と呼ばれています)に基づき、新築住宅には義務化されている保証です。一般的には、新築住宅の「住宅の構造耐力上主要な部分」「雨水の浸入を防止する部分」の瑕疵(法律上、欠点や欠陥のある状態にあること)が原因で、住宅の基本的な耐力性能や防水性能を満たさない状態にある場合、住宅を建築した業者が依頼主に対して10年間の瑕疵担保責任(無料で補修・工事を行う義務)を負担することで生じる修補費用等を保証するものです。

要約すると、自社が作った新築住宅に法律上の重大な不具合があった場合は無料で修理するというものになります。先述の通り、②③の保険が「突発的な事故」を対象としている一方で、瑕疵保証は事故のあるなしに関係なく保障するものと考えられます。

 

【住宅瑕疵担保責任保険とは?】

住宅建設会社が供給した住宅に瑕疵があった場合に、その補修のための費用を補填してもらう保険です。新築住宅を供給する業者は、保証金を供託した時を除いて「住宅瑕疵担保責任保険」への加入を義務付けられています。2000年4月に「住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)」が施行されたことで、建築会社などの事業者は建築した住宅を引渡してから10年間に渡って瑕疵担保責任を負うことになりました。

瑕疵担保責任とは、依頼主が確認してもわからない欠陥が住宅にあった時に、住宅を供給する事業者側がその責任を負う制度です。しかしながら、瑕疵担保責任が義務付けられていたとしても、事業者に資金力がなければその責任を果たすことができないことから、2009年に瑕疵担保履行法が施行され、事業者は瑕疵担保責任を果たすための資金を確保する措置を講じる必要に迫られることになりました。

 

事業者に義務付けられた資金の確保の手段は2種類あります。その1つが、住宅瑕疵担保責任保険への加入です。これは、事業者が国土交通大臣の指定した保険法人と保険契約を締結することで住宅瑕疵担保責任保険に加入し、資金の安定化を図るものです。もう一つは、保証金の供託という方法です。こちらは、事業者が供給した新築住宅に応じた額の保証金を10年間に渡って法務局など供託所へ預けることで資金を確保するというものです。

新築住宅の引渡しを受けた後に瑕疵が見つかった時には、依頼主は事業者へ瑕疵担保責任によって補修費用などの請求をすることができます。しかし、事業者に資金がなければ補修費用などの支払いをすることができませんが、先述の方法で事業者は資金を確保しておかなければなりません。万が一、事業者に資金がない場合は新築住宅の瑕疵がそのまま放置されるという状態になってしまします。

また、事業者が倒産してしまった後に新築住宅の瑕疵が発覚した場合は、瑕疵担保責任を請求する相手がいないわけですから、どうしようもなくなってしまいます。このようなことがないように制定されたのが、住宅瑕疵担保責任保険というわけです。事業者は、新築住宅を建設する請負契約をする際に、契約書に保険加入の有無を明記しなければなりません。

それにより、依頼主は請負契約の際に住宅瑕疵担保責任保険の内容を確認できますし、新築住宅の引渡しの際には依頼主は事業者から保険契約に関する書類を交付してもらうことになっています。このように、住宅瑕疵担保責任ができたことで、より安心して新築住宅を取得できるような体制ができあがったといえます。

  • 売掛債権保証

取引先が倒産して支払いができなくなってしまい回収不能となってしまった場合は、保証依頼のあった取引先に対して調査を行うことになります。審査により保証可否・限度額・料率が決定しますが、審査には1500円/件の費用が発生します。

 

  • 自動車保険

例えば、高所作業車で作業中に操作を誤って電線を切断してしまった、現場からの移動中に交差点で事故を起こしてしまった…このような、自動車の運行管理が原因の事故は自動車保険が優先されることがほとんどです。工事保険で補償されるのは、自動車や原動機付自転車の所有もしくは使用、管理が原因の賠償責任が発生しますが、工事現場という不特定多数の人が出入りすることが制限されている作業場内での事故に限り保険金が支払われることになっています。

しかし、損害額がその自動車に紐づいている自賠責保険(責任共済含む)および自動車保険(自動車共済含む)によって

支払われる保険金と免責金額の合算額を超過する場合には、その超過額のみの保険金が支払われることになります。いずれにしても、自動車に関する事故はトラブルにつながりやすいので、常々慎重な運転が求められます。

このように、工事保険には様々な種類があります。それぞれの保険で補償内容が違いますので、自社の業務内容に応じて「必ず加入すべき保険」「加入した方が良い保険」「加入する必要がない保険」を整理して、無理・ムダのない保険加入を行いましょう。

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